2018年。甲子園100回大会にみるエンタメ

かつて高校球児だったハルです。

 

先日、夏の甲子園が終幕しました。

決勝が、高い実力を持つエース吉田を擁し、メンバー全員が地元秋田出身の公立高校である金足農業

対して、全国から選手を集め、春の甲子園を制した圧倒的戦力を持つ強豪の大阪桐蔭というカードでした。

 

金足農業は吉田選手の実力と逆転のホームランや2ランスクイズといったドラマチックな試合展開で全国の強豪私立を倒してきたので、まさに甲子園のヒーローとして扱われていました。

 

結果は大阪桐蔭の圧勝で終わりましたが、試合前後のメディアの取り上げ方はむしろ敗者である金足農業をフィーチャーしてることからも世間がいかにヒーローとして当てはめていることが伺えるでしょう。

 

一方で甲子園の時代遅れのシステムや炎天下で短期日程で選手を疲弊させるスケジュールに対する批判は年々強まっていると感じています。

今回の金足農業。特に吉田選手が地方大会から決勝まで一人で投げ続けてきた経緯から、批判に拍車をかけていると思いました。

 

大阪桐蔭はプロクラスの投手が3人いたので、どちらかというと大阪桐蔭が勝ったというより、吉田投手が甲子園のシステムの疲労によって負けたという論調もあります。

 

しかし、私はこのような論調は金足農業を地方の弱者として当てはめたバイアスがかかっていて危険だなーと感じざるを得ません。

 

秋田県はどちらかというと公立優位の県で、過去10回の夏の甲子園代表実績を見ても明桜高校が2回出ているくらいです。

さらに金足農業のメンバーのほとんどが地元のリトルシニア(中学の軟式野球の部活ではない硬式のクラブチーム)に所属しており、シニア出身者で集まって甲子園を目指す態勢だったのでしょう。

これは秋田県だけではなく、都市部以外の県ではよくあることです。

 

金足農業の選手たちは私立からの誘いを断って甲子園を目指す意思を初めから持ち合わせていたのです。

それを私を含めた外野がとやかく言う筋合いはどこにもありません。

 

運営側でもタイブレーク制の導入など、負荷軽減の取り組みを進めています。

吉田投手の1500球を超える投球数から球数制限の導入を求める声も大きいです。

けれども、球数制限は金足農業のようなチームを苦しませる結果になると私は思います。

そもそも球数は人によって負担が変わり、ウォーミングアップで投げる球数も個人差が大きいので本質的に疲労を測れるものではありません。現に吉田投手は連投を踏まえたペース配分を心得ており、ピンチの場面でギアを上げる高い技能で甲子園のシステムに適応していました。

どちらかというとトーナメントの終盤の試合間隔にゆとりを持たせるほうがはるかに有効だと思います。

 

そもそも選手保護の観点は何を目的としているのでしょうか?

選手のその後の野球人生というのならば、それはそれで恣意的な考えではないかと思います。

高校球児はプロではありませんし、甲子園の影響で選手が消耗するかどうかは誰にもわかりません。

仮に吉田選手をはじめとした有力選手が強豪私立に入学したところで、飼い殺しにされる可能性もあります。残酷ながらどんな世界もそのような実情はあるのです。

 

とどのつまり甲子園はエンタメなのです。

結果として金足農業秋田県を初め、全国に大きな感動をもたらしました。これは甲子園という一発勝負のトーナメントシステムだからこそ成しえたことだと思いますし、普通に高校生活を送っていては到底できないことを高校球児たちは実現しているのです。

選手当人もその覚悟を持った選択をしており、試合後の笑顔と涙から人生においての貴重な価値を得ることができたと推測できます。

 

月並みですが、私はそんな選手たちや運営側に感動とエンタメをありがとうと言いたいし、全国の老若男女を熱狂させる甲子園を陳腐化させたくないと願っています。